江に対して注ぐことを心から希望する。それは同時に、ぼくに対する大きな愛情でもあるのだ。」
 かれはそれを封筒《ふうとう》に入れて封をした。が、上書《うわが》きを書こうとして、何かにはっと気がついたように、ペンをにぎったまま、その封筒を見つめた。
 しばらく考えたあと、かれはその封筒を、手紙ごとめりめりと裂《さ》き、もみくちゃにし、さらにすたずたに裂いて屑籠《くずかご》に投げこんだ。
 それからまた、便箋を前にして、じっとどこかを見つめていたが、やがてかれの頬《ほお》には冷たい微笑が影《かげ》のように流れた。そして一気に記されたのはつぎのような文句であった。
「君の手紙を見て、ぼくは失笑《しっしょう》を禁じ得なかった。とんでもない誤解だ。しかも君は、ぼくに対する判断を誤まっているばかりでなく、道江に対する判断をも誤まっている。ぼくの場合は、笑ってもすませるが、道江の場合は、そうはいくまい。道江にとっては、それはおそらく致命的《ちめいてき》な打撃《だげき》を意味するだろう。おそろしいことだ。ぼくは、道江の一生の幸福のために、婚約|拒絶《きょぜつ》について、君の再考を祈ってやまない。それは同
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