ったような意味だったと思う。今だからいうが、ぼくは、実は、それを読んだとき、道江は君を愛しているのではないかと、ちょっと疑ってみたくなったくらいなのだ。――といっても、それが原因で、ぼくが道江との婚約を断わったわけでは、むろんない。――なお、これも手紙に関連したことだから、ついでに言っておくが、道江は、君が上京以来一度もたよりをしなかったことを、なぜぼくのほうにうったえて来なかったのか、今になって思うと、それもぼくにはふしぎでならないのだ。ひかえ目な女性というものは、自分が心の中でひそかに愛している人の消息を、他の人にはたずねたがらないものだが、道江もあるいはそうではなかったのか、などとぼくが疑ったとしても、必ずしも無茶ではないと思うが、どうか。――」
次郎は、それが恭一の自分に対する気やすめ以上のものではないと思いながらも、ふしぎに怒りを感じなかった。
「書くことが少し先走りしすぎたが、要するに、道江とぼくとの間柄《あいだがら》は、どちらのがわからいっても、親類ないし友だち以上のものではない。少なくとも、ぼく自身に関するかぎり、このことは誓っていえることだし、また道江のがわから言っ
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