しかし、かれの気持ちに頓着《とんちゃく》なく、しだいに論理的になって行った。
「さて、君が道江に対していだいている気持ちについてのぼくの判断に誤まりがなく、そして、ぼくが道江に対していだいている気持ちについてぼく自身のいうことを君が信じてくれるとすると、残る問題で最も重要なことは、道江自身の気持ちはどうか、ということだ。君は、おそらく、それはもうわかりきったことだ、と言うだろう。今の君としては、無理もないことだ。そう思っていたればこそ、これまで一人で苦しんで来たのだろうから。……しかし、もし、ぼくの将来の結婚の相手として、道江のことが内輪話《うちわばなし》の種になっていたのを、君がたまたま耳にして、それだけで、すぐ道江の気持ちまでを決定的なもののように君が思いこんでしまったとすると、それはあまりにも軽率《けいそつ》だったと言わなければなるまい。それでは、道江が第一気の毒だし、ぼくも非常に迷惑《めいわく》する。だいたい、この話は、双方《そうほう》の老人たちの軽い茶話の間から生まれたことで、もともと道江の気持ちにもぼくの気持ちにも全くかかわりのないことだったのだ。それが多少真剣な話になって
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