れらにとっては、大河は、最初の朝の板木一件以来、いわば、いい意味での一種の変人であり、何かしら人の意表に出るような親切をやって喜ぶ性質《たち》の人であった。かれらはいつの間にか、大河を「さん」づけで呼ぶようになっていたが、それは、そうした変人に対するかれらの親しみの情をこめた敬称だったのである。
入浴がすむと、いよいよ待望の「お国|自慢《じまん》の会」がはじまった。
広間にあつまったみんなの顔は、つやつやと光って晴れやかだった。
「今夜は何だか銀座の匂《にお》いがするようだね。」
朝倉先生は、座につくと、すぐそんなしゃれを飛ばした。
「銀座の匂いは、もう風呂で流してしまったんです。」
だれかがすかさず応酬《おうしゅう》した。つづいて、
「おみやげに、すこし残しておくところだったね。」
そんなふうで、最初から笑いが室内の空気をゆりうごかしていた。
「お国自慢の会」は、一面「郷土を語る会」であり、他面「郷土芸術の発表会」であった。あるものは演説|口調《くちょう》で郷土の偉人《いじん》や、名所|旧蹟《きゅうせき》や、特殊《とくしゅ》の産業などを紹介《しょうかい》し、あるものは郷土の
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