道江は、二人の話を心配そうにきいているだけで、ひとことも口をきかなかった。しかし、いよいよわかれる時になると、遠慮《えんりょ》ぶかそうに次郎に言った。
「次郎さんは、今でもやっぱりどこかに一途《いちず》なところがあるのね。どんなわけだか知らないけれど、短気をおこさないでくださいよ。何ていったって、次郎さんは朝倉先生のおそばにいらっしやるのが一ばんいいと、あたし思うわ。」
 次郎は、そっぽを向きながら、悲しいような、腹だたしいような気持ちで、それをきいていた。返事はむろんしなかった。そして、二人にわかれて、自分の室にかえると、机の前にすわりこんで、いつまでも動かなかった。
 塾生たちの大多数は、時間ぎりぎりに帰って来た。早めに帰って来たものは一人もなく、中には夕食に間にあわなかったものも幾人《いくにん》かあったので、ちょっと心配されたが、それでも食卓をかたづけるころまでには、どうなり全部の顔がそろった。
 入浴は、みんなの帰りがおそかったので、夕食後になり、一時に殺到《さっとう》したため、かなりこんだ。しかし、大河のおかげで、予期しなかった入浴ができたのを、みんなは心から喜んだ。か
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