んまり先生をたよりすぎて来た。だから、ぼく自身でぼくを始末する力がないんだ。」
 恭一は、複雑な表情をして、しばらくだまりこんでいたが、
「しかし、塾を出て、どこへ行くんだい。」
「それは、これから考えるさ。」
「君に去られたら、先生がお困りじゃないかね。」
「助手には大河君をつかってもらえば、かえっていいと思っているんだ。大河君も、たのめばきっと喜んでやってくれるだろう。」
「ふむ――」
 と、恭一は、もう一度考えこんだが、
「しかし、大事なことだ。もっとおたがいに、考えて見ようじゃないか。いずれ近いうちにまたやって来るよ。できれば、今度は大沢《おおさわ》君をさそって来る。三人でゆっくり話しあってみよう。朝倉先生に話すのはそのあとにしたらどうだい。……また話してはいないんだろう。」
「むろん先生にはまだ話してないさ。こんなことを考えたの、今日がはじめてなんだから。」
「今日がはじめて? なあんだ、そうか。」
 と、恭一は笑いかけたが、その笑いは、急に何かに払《はら》いのけられたように消えた。そしてつぎの瞬間には、かれの聡明《そうめい》そうな眼が、しずかに次郎と道江との間を往復していた
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