案内を終わって、最後にかれの居室《きょしつ》をのぞいたとき、それまでほとんど口をきかないでいた恭一が、まじまじとかれの顔を見つめながら言ったことだった。
「今日は、君、たしかにどうかしてるね。ぼくの眼にも、いつもと非常に違《ちが》っているように見えるよ。何か苦しんでいることがあるんじゃない? もしそうだったら、打ちあけて朝倉先生に相談するがいいじゃないか。むろん、ぼくでよかったら、いくらでも相談にのるがね。」
 次郎は、恥《は》ずかしさと腹だたしさとで、顔中が引きつるような気持ちだった。
「何でもないよ。」
 と、かれはおこったようにいって、すぐ二人を、食卓《しょくたく》の準備されている広間に案内した。
 食卓は、日ざしのいい窓ぎわに据《す》えられており、朝倉先生夫妻のほかに、大河無門がもう卓について、三人がはいって来るのを待っていた。
「大河さんがおひとりで居残《いのこ》っていらしって、お風呂に水をいれていただいていたものですから、ごいっしょにお食事をしていただくことにしましたの。」
 夫人は、次郎にそう言ってから、恭一と道江を大河にひきあわした。そのあとで、朝倉先生は微笑《びしょう
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