つぎからつぎに花が咲《さ》いた。共通の話題は、いつまでたってもつきなかった。次郎をのぞいては、だれもが雄弁《ゆうべん》だった。そして、次郎がとかくだまりこみがちになっても、それは全体の話の流れには何のさまたげにもならないかのようであった。
道江の言葉づかいは、以前に変わらず素直《すなお》で、すこしも才走《さいばし》ったところがなかった。それが、かつては、次郎に道江を平凡《へいぼん》な女だと思わせた一つの理由だったが、今はまるでちがった感じだった。素直さが、そのまま知性的に高められて、この上もない美しい品格を作っているように思われたのである。かれは、その感じが深まるにつれ、恭一が上京以来しばしば、かの女のためにいろいろの本を選択《せんたく》して送ってやっていたことを思い出し、これまでに覚えたことのない、異様なねたましさを覚えたのだった。
朝倉夫人は、話の途中《とちゅう》で、みんなの昼飯の用意をするために、本館の炊事場のほうに行ったが、行きがけに次郎に言った。
「これからどんなお話がでるか、よく覚えていてくださいよ。あとできかしていただきますから。」
次郎には、夫人のそんな言葉までが
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