、何かとくべつの意味があるような気がして、平気では受け答えができないのだった。
 そのあと、話は主として朝倉先生と恭一との間にとりかわされた。道江は、女の話相手を失って、口を出す機会が自然に少なくなったのである。次郎は、そうなると、いよいよ気がつまり、舌がこわばった。
 道江は、朝倉先生と恭一とが話している間に、たびたび次郎の顔を見て、何か話しかけたいような様子を見せた。次郎は、むろん、それに気がついていた。かれは、しかし、あくまでも眼を先生と恭一とのほうにそそぎ、熱心に二人の話に聞き入っているかのように装《よそお》った。
「ねえ、次郎さん――」
 と、道江が、とうとう身をすりよせるようにして、小声でいった。
「お手紙、どうして一度もくださらなかったの?」
 次郎はちらっと道江の顔を見たが、その眼はまたすぐ恭一のほうにそそがれていた。そして、かなり間をおいて、
「べつに用がなかったからさ。」
 と、ほかの人にきこえるのをはばかるような、ひくい声でこたえ、頬を紅潮《こうちょう》させた。
 まもなく朝倉夫人が玄関口までもどつて来て、言った。
「おひるは本館のほうに用意しておきますわ。あと三
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