すぎるものが感じられたのである。
次郎は、その笑顔を思いうかべながら、風呂をわかすことについての大河との問答を心の中でくりかえした。そして、大河が最後に言った言葉まで来ると、われ知らず肩《かた》をすくめ、吐息《といき》をついた。
(やはり、どこか突《つ》きぬけたところのある人だ。ものごとにとらわれない、あの自然さは、ぼくなんかとは、まるで段がちがう。)
かれは、それからもながいこと、机の上にほおづえをついて、大河の笑顔と言葉との意味を心の中でかみしめていた。かれの臂《ひじ》の下には、恭一から来たはがきがあった。
と、だしぬけに、窓のそとから、給仕の河瀬《かわせ》の声がきこえた。
「本田さん、朝倉先生がお呼びです。空林庵のほうにおいでくださいって。」
次郎が窓をあけると、
「どなたかお客さんのようですよ。」
「お客さん?」
次郎の眼には、つい忘れかけていた恭一と道江の顔が、大河の顔に代わって、やにわに大きく浮《う》かんで来た。
「どんなお客さんだい。」
「大学生のようでしたが。」
「ひとり?」
「いいえ、女の人がいっしょです。」
「そうか、いま来たんかい。」
「ええ、たった今で
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