《お》しかったね。おしまいごろにはかんしゃく[#「かんしゃく」に傍点]をおこしていたようだったが。」
「はあ――」
 次郎はぎくりとして、うまく返事ができなかった。大河のにっと笑った顔と、その時言った言葉とがあらためて思い出されたのだった。かれはしばらく眼をふせていたが、
「おしまいのほうは、実は僕が打ったんでした。」
 それから、ちょっと柱時計をのぞき、
「その時、実は大河君にいわれたこともあるんですが、あとでゆっくり先生に教えていただきたいと思っています。」
 かれは、そう言うと、すぐおじぎをして、塾長室を出た。朝倉先生は無言のまま、かれのうしろ姿を見おくっていた。
 もうそのころには、塾生たちは、室内の掃除整頓をすべて終わって、最後に、廊下や、玄関《げんかん》や、そのほかの出入り口の掃除にかかっているところだった。むろんそうした掃除も、分担《ぶんたん》は一通りきまっていたが、厳密には境界が定められないために、塾生たちはかなり入りみだれていた。
 次郎は、すぐ、事務室の前から玄関にかけての掃除を手伝った。朝倉先生も、そのうちに塾長室から廊下に出て、みんなの様子を見ていたが、それもほ
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