と、次郎はちょっと考えていたが、
「今のところ、平木中佐の影響《えいきょう》でどうこうというようなことは、全然ないように思います。」
「そりゃあそうだろう。それがあらわれるのはまだ早いよ。」
 それから、朝倉先生は、何かおかしそうにひとりで笑っていたが、
「それに、今朝はすいぶん寒かったし、平木中佐どころではなかったんだろう。」
 次郎は、すぐには、その意味がのみこめないで、きょとんとしていた。すると、先生は、
「こんな寒い朝に、死ぬ気になってみんながはね起きてくれると、平木中佐に感謝してもいいんだがね。」
 二人は声をたてて笑った。次郎は、しかし、すぐ真顔《まがお》になり、
「けさの板木《ばんぎ》の音、どうでした?」
「最初の朝にしては、めずらしいことだったね。時刻が非常に正確だったし、それに、打ち方がちっとも寒そうでなかった。」
「先生もそうお感じでしたか。」
「感じたとも。あんな落ちついた打ち方は今日のような寒い朝には、なかなかできるものではないよ。」
「僕もそう思って、わざわざ廊下に出て見たんですが、当番は大河君だったんです。」
「なるほど。そうか。――しかし、大河にしちゃ惜
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