に注意していた。そのうちに、飯島は急に何か思い出したように叫《さけ》んだ。
「あっ、そうだ。僕はここだけにへばりついていては、いけなかったんだ。」
そして、次郎のほうをちょっとぬすむように見ながら、
「第五室は、管理部として全体の責任を負っているんだからね。僕、一まわりして、様子を見て来るよ。」
飯島は、そう言うと、いかにもあわてたように、あたふたと廊下に足音をたてて去った。
朝倉先生は、かつて次郎に、「現在の日本の指導層の大多数は、正面からは全く反対のできないようなことを理由にして、自分たちの立場を正当化したがるきらいがあるが、そうしたずるさは、ひとり指導層だけに限られたことではないようだ。たいていの日本人は、何かというと、表面堂々とした理由で自分の行動を弁護したり、飾《かざ》ったりする。しかも、それで他人をごまかすだけでなく、自分自身の良心をごまかしている。それをずるいなどとはちっとも考えない。これはおそろしいことだ。友愛塾の一つの大きな使命は、共同生活の実践《じっせん》を通じて、青年たちをそうしたずるさから救い、真理に対してもっと誠実な人間にしてやることだ。」というような意
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