味のことを、いったことがあったが、次郎は、便所の中から、飯島のうしろ姿を見おくりながら、その言葉を思いおこし、今さらのように、大きな困難にぶっつかったような気がしたのだった。
 飯島の足音がきこえなくなると、小便所の掃除をしていた四人が、かわるがわる言った。
「すいぶん、ちゃっかりしているなあ。」
「何しろ紳士《しんし》だからね。」
「郡の団長なんかやってると、あんなふうになるもんかね。」
「そりゃあ、あべこべだよ。あんな人だから、郡の団長なんかになりたがるんだ。」
「つぎは、そろそろ県会議員というところかね。」
「ふ、ふ、ふ。」
「そういうと、ゆうべの室長選挙も何だか変だったぜ。」
「はじめから、自分が室長だときめてかかっているんだから、かなわないよ。」
「心臓だね、じっさい。」
「その心臓に負けて、いやいやながら全員|一致《いっち》の推薦《すいせん》をやったというわけか。」
「妙《みょう》なもんだね、選挙なんて。」
「選挙なんてそんなものらしいよ。どこでもたいていは心臓の強いのが勝っているんだ。」
「はっはっはっ。」
 次郎は、そんな対話の中にも、友愛塾に課された大きな問題があると
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