除を、まず手始めに自分たちで引きうけることにしたものであろう。それはそれで、むろんいいことにちがいない。しかしあたりまえ以上のいいことでもなさそうだ。――次郎は、つい、そんな皮肉な気持ちになったのだった。
しかし、つぎの瞬間《しゅんかん》に、かれの頭にひらめいたのは大河無門のことだった。かれは、すると、もう飯島の存在を忘れて、大河の姿を便所のあちらこちらにさがしていた。
左右の窓の下に、小便つぼがそれぞれ七つほど並《なら》んでおり、そこを四人の塾生が二人ずつにわかれて、棒だわしで掃除していたが、その中には、大河の姿は見えなかった。
つきあたりに、大便所がこれも七つほどならんでいる。そのうちの、右はじの一つだけが戸が開いており、その少し手前の、たたきの上に、水をはったバケツが一つ置いてあるのが見えた。戸の開いた便所の内側は、電燈の光を斜《なな》めにうけているので、よくは見えない。しかし、だれか中で掃除をしていることだけはたしかだった。六人の室員のうち、飯島は入り口に立っており、両がわの小便所に二人ずつ働いているのだから、あとの一人は大河にきまっている。次郎は、そう思って、すぐ声をか
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