ていたので、かれらも、まがりなりにも責任だけは、果たさなければならなかったし、それに、きびしい寒さと、おたがいの眼とが、かれらを、外見だけでも、いかにも忙《いそが》しそうな活動に駆《か》りたてていたのである。
 次郎は、自分の責任である二つの室の掃除を終わると、すぐ便所掃除の手伝いに行った。これは、かれが助手として塾生活をはじめた当初からの、一つの誓《ちか》いみたようになっていたのである。
 かれが、便所に通ずる廊下の角をまがると、一段さがった入り口のたたきの上に立って、何かしきりと声高《こわだか》にがなりたてている一人の塾生がいた。見ると、飯島好造だった。
「おはよう。ここは何室の受け持ちでしたかね。」
 次郎は近づいて行って声をかけた。
「第五室です。僕《ぼく》たちで、最初にここを受け持つことにしたんです。」
 飯島は、いかにも得意らしくこたえた。
 ゆうべの懇談会で、日々の掃除の分担は管理部で割りあて、毎晩|就寝前《しゅうしんまえ》に、翌日の分を各室に通告するということにきまったのだったが、その管理部の責任を、最初の一週間第五室が負うことになっている関係上、だれしもいやがる便所掃
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