し、すいぶんむずかしい生活ですね。」
どちらかというと、青白い顔の、知性的な眼をした、しかし十分労働できたえたらしい、がっちりした体格の持ち主だった。
「第三室の青山敬太郎君です。」
次郎が朝倉先生に小声で言った。
青山の推薦者《すいせんしゃ》から塾堂に来た手紙によると、かれは二十三歳の若さで、弘前《ひろさき》の郊外に、相当大きなりんご園を経営しており、しかも、そのりんご園の中に、私財を投じて、付近の青年たちのために小さな集会所を建て、毎晩のように、自分もいっしょになって読書会や農業研究会などをやっている、とのことであった。そのせいで、大河無門とともに最初から次郎の注目をひいていた一人だったのである。
朝倉先生は、青山の青年集会所のことが簡単に名簿の備考欄に書きこまれてあるのに目をとおしながら、何度もうなずいていたが、
「むずかしいっていうと?」
「強制されないでうまくやっていくほど、むずかしいことはないと思うんです。」
「しかし、強制されないとやれないほど、むずかしいことをやろうというんではないよ。」
「ええ、それはわかっています。」
「常識をはたらかせさえすれば、だれにもで
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