のかもしれないが、しかし、そうした傾向《けいこう》は、日本にとって決して喜ぶべき傾向ではないよ。私は、そうした傾向から、おそろしい結果が近い将来に生じて来やしないかと、それをいつも心配しているぐらいなんだ。私が、こうして、及《およ》ばずながら、この塾の責任をひきうけているのも、せめては、ここに集まって来る青年諸君だけにでも、すなおな、道理にかなった共同生活の建設に努力してもらって、その体験をとおして、いくらかでもそうした危険な傾向を阻止《そし》してもらいたいためなんだ。わかってもらえるかね。」
 朝倉先生は、しだいに、しみじみとした調子になっていった。田川も、さすがに、それでいくらか心を動かされたらしく、もう、あからさまな反抗的《はんこうてき》態度は示していなかった。しかし、何かまだ腑《ふ》におちないところがあるのか、ちょっと首をふっただけで、やはり返事はしなかった。
 すると、それまで、窓の近くにいて、腕をくみ、眼をつぶり、何か深く考えこんでいるらしく見えていた一人の青年が、急に眼を見ひらいて、言った。
「ぼくは、先生のおっしゃることが、やっと、どうなりわかったような気がします。しか
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