「君の気持ちは、私にはわからんことはない。大いに鍛練《たんれん》されるつもりで、はるばるやって来て、ちっとも鍛練してもらえないとなったら、そりゃあ腹もたつだろう、無理はないよ。しかし、君がのぞんでいるような鍛練なら、君はもう軍隊生活で、十分うけて来たんではないかね。」
 天井をにらんでいた田川の眼が、やっと朝倉先生のほうにもどって来た。しかし返事はしない。朝倉先生は、すこし考えてから、
「どうも、君と私とでは、鍛練という言葉の意味が、まるでちがっているようで、そこいらに君の不平の原因もあるようだが、自分たちの生活を自分たちで築きあげる能力を養うことも、一つの鍛練だと考えて、ここでは一つ、そういった意味での鍛練に精進《しょうじん》してみる気にはなれないかね。」
 田川の顔には、冷笑に似たものが浮《う》かんだだけだった。
「やはり納得が行かないようだね。」
 と、朝倉先生はちょっと眼をふせたが、すぐ何か決心したように、
「じゃあ、君にたずねるが、君は、私のほうできめたことなら、それにどんな無理があっても、無条件に従う気なんだね。」
「そうです。それがぼくたちの鍛練のためでさえあれば、喜んで
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