かし、みんなでめんどうを見るのが、ここの生活ではなかったのかね。」
「しかし、それでは、時間ばかりくって、実質的なことが何もできなくなってしまうと思うんです。」
「何が実質的なことか、それも問題だ。君が時間のむだづかいだと考えていることに、あんがい人間としての実質的な修練に役だつことがないとも限らんからね。しかし、そんなこともおいおい考えることにしよう。そこでさっきの話だが、どの室でもわずか六人の話しあいが、今のままでは、うまくいかないということだったね。」
「そうです」
「各室だけの話しあいさえうまくいかないようでは、これだけの人数の共同生活が成りたつ見込《みこ》みは絶対になさそうだ。だから、まず、第一にその問題から解決してかからなければならないが、それはどうすればいいのかね。」
「室長といったものをきめさえすれば、何でもなく解決するんじゃありませんか。」
 飯島は、いかにも歯がゆそうに言った。
「そう。まあ、そんなことかな。室長というものが、はたしてどの程度に必要なものか、あるいは、六人ぐらいの人数では、これからさき君たちの生活のやり方|次第《しだい》で、その必要がないということに
前へ 次へ
全436ページ中140ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
下村 湖人 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング