とはまるでちがった気持ちと態度とをもって、戦いに臨《のぞ》もうとする意志が、ほのかに湧《わ》きかけていた。むろんそれが決定的にかれの行動を左右するまでには、まだ数多くの試練を経《へ》なければならなかったであろう。しかし、少なくともかれの頭だけでは、そうした意志に生きることの必要が、かなりはっきりと理解されていたようであった。――真の勝利は、相手を憎《にく》み、がむしゃらに相手に組みつくだけでは、決して得られるものではない。自分みずからを充実《じゅうじつ》させることのみが、それを決定的にするのだ。友愛塾の精神を勝利に導く手段もまたそこにある。そして、友愛塾の内容を充実させるために、自分にとって必要なことは、友愛塾の助手としての自分の道を、ただまっしぐらにつき進みつつ、人間としての自分を充実させることであって、いたずらに荒田老や平木中佐の言動を気にし、かれらに対して感情的に戦いをいどむことではない――かれの頭は次第にそんな考えに支配されはじめていたのであった。
かれが答えをしぶっていると、田沼先生は、その張りきった豊かな頬《ほお》をほころばせて言った。
「軍人にあのぐらいどなられると、ち
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