ことだし、それは気にすることはない。大事なのは、そういう関係を先生も弟子も、どう生かすかを考えることだよ。」
 次郎はやはり考えこんでいた。田沼先生も何かしばらく考えるふうだったが、
「ところで、どうだね、今日の気持ちは? 式場では、いつもに似ず、まごついていたようだったが。……」
 次郎は、田沼先生が、わざわざ広間にやって来て自分に話しかけた目的はこれだな、と直感した。同時に、かれの胸の中では、感謝したいような気持ちと圧迫《あっぱく》されるような気持ちとが入りみだれた。かれはすぐには答えることができなかった。自分の感想を、あからさまにいうのが、何となくはばかられたのである。
 それに、今はもう式場や食卓で感じた不愉快な気持ちもかなりうすらいでいて、だれかにそれをぶちまけなければ治まらないというほどではなかった。大河無門が早くも田沼先生の注目をひいているということを知ったことで、かれの気分がかなり明るくなっていたうえに、さっきから二人で取りかわした問答の間から、自分の生き方に何か新しい方向を見いだしたような気になり、そのほうにかれの関心が高まりつつあったのである。
 かれには、これまで
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