生を希望しているし、また、君が助手だからといって、大河を先輩《せんぱい》として尊敬できないという理由もないだろう。」
「それはむろんそうですけれど……」
「それとも、大河に気押《けお》されて、やるべきことがやれないとでもいうのかね。」
「そんなことはありません。ぼくはただ朝倉先生のあとについて、仕事をやっていくだけのことなんですから。」
「じゃあ、何も気にすることはないじゃないかね。」
「ええ。」
と、次郎はこたえたが、まだ何となく気持ちを始末しかねているふうであった。
田沼先生は、しばらくその様子を見まもったあと、
「やはり気がひけるらしいね。」
「ええ、ぼく、代われたら代わりたいと思うぐらいなんです。」
「代わる? そんなことはできないよ。かりにできたところで、それは小細工《こざいく》というもんだ。そんな小細工をするよりか、与《あた》えられた立場をそのまますなおに受け取って、それを生かす工夫《くふう》をしたらどうだ。君自身のためにも、大河のためにも、塾生たちみんなのためにも、生かそうと思えばどんなにでも生かされると思うがね。私は、ある意味では、むしろ、いいチャンスが、君にめぐま
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