がちょっとうたがわしかったらしく、
「大河っていう人のことでしょう。」
「うむ、大河無門、さっき名簿で見たんだが、めずらしい名前だね。」
「ええ、名前もめずらしいんですが、人間も非常にめずらしいんじゃないかと思います。」
「私もそう思う。たしかにめずらしい青年だよ。」
「もう本人をご存じなんですか。」
「まだ直接会ってはいない。しかし、式場で眼についたので、朝倉先生にたずねて見たんだ。」
次郎は、「式場で眼についた」ときいた瞬間《しゅんかん》、何か明るいものが胸の中にさしこんだような気がした。かれはうれしくなって、膝《ひざ》をのり出しながら、
「あの人、大学を出ているんです。」
「そうだってね。」
「年も、ぼくよりずっと上なんです。」
「そうだろう。顔を見ただけでも、たしかに君の兄さんだ。それに――」
と田沼先生は、ちょっと微笑して、
「精神|年齢《ねんれい》のほうでは、いっそう年上らしいね。」
次郎はそれを冗談だとは受け取らなかった。かれは真剣《しんけん》な顔をして、
「ぼく、あの人が塾生で、ぼくが助手では、変だと思うんですけれど……」
「どうして? それはかまわんさ。本人が塾
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