に来賓席の上座《かみざ》につき、平木中佐がその横にならんだ。ごちそうは、これも恒例で、赤飯に、小さいながらも、おかしら付きの焼鯛《やきだい》、それに菜《な》っ葉《ぱ》汁《じる》と大根なますだった。
 朝倉先生の「いただきます」という合い図で、みんなが箸《はし》をとりだすと、平木中佐がすぐ荒田老に言った。
「なかなかしゃれていますね、おかしら付きなんかで。」
 荒田老は、黒眼鏡すれすれに皿《さら》を近づけ、念入りに見入りながら、
「小鯛《こだい》らしいな。なるほどこれはしゃれている。しかし若いものは、これでは食い足りんだろう。」
「ええ、やはり青年には質よりも量でしょうね。」
 二人の話し声は、かなりはなれたところにすわっていた次郎の耳にもはっきりきこえた。かれは、それも塾に対する皮肉だろうと思った。そして、食卓につくとすぐそんなことを言いだした二人のえげつなさに、ことのほか反感を覚えた。
「しかし、気は心と言いますか、こうして祝ってやりますと、やはり青年たちにはうれしいらしいのです。」
 そう言ったのは田沼先生だった。ふっくらした、あたたかい言葉の調子だった。すると朝倉先生が冗談《じょ
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