、また、一方では、何ひとついい条件なしにお芳を迎えなければならない家庭の事情を思って、いよいよ気が重くなるのであった。

    六 卑怯者

 三月にはいると、まもなく中学校の入学試験だった。次郎たちの学校からは、昨年不合格だった源次たちの仲間を加えて、都合十五名が願書を提出した。
 毎年の例で、みんなは一名の先生につきそわれて、試験のはじまる二日まえから、西福寺という町のお寺に合宿することになった。二日もまえから合宿をはじめるのは、町の地理や、中学校の建物の様子などに、まえもって、いくらかでも慣れさしておくことが、みんなの試験度胸をつくるのに必要だと思われたからである。しかし、みんなとしては、そんなことよりも、一日も早く賑やかな町に行き、そこでいっしょに寝泊り出来るということが、ただわけもなく楽しかった。――一般にこの辺の児童は、入学試験に対しては割合にのんきで、競争意識で神経をいら立たせる、といったようなことはあまりなかったのである。
 附添いの先生は、次郎や竜一たちを四年から受持ってくれていた権田原先生だった。
 この先生は、児童たちが何かいたずらでもやっているのを見つけると、
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