いや。ねえ、恭ちゃん。」
 恭一はにがい顔して、じっと次郎を見つめた。見つめられて、次郎ははっとしたように目を伏せた。
(ませっくれ!)
 彼は恭一にそう叱られているような気がしたのである。
 俊亮も、二人の様子にすぐ気づいた。彼は、しかし、今は次郎の努力を買ってやりたい気持でいっぱいだった。いつもなら、次郎のませっくれた態度が誰よりも気になる彼だったが、なぜか今日は、次郎をそんなふうにみる気には、少しもなれなかったのである。
「ほんとうにお祖母さんもどうです。こんなときに、お祖母さんがついて行って下さると、大巻でも、そりゃあ喜びますよ。」
「そうねえ。」
 と、お祖母さんは、気のあるような、ないような返事をして、しばらく思案《しあん》していたが、ふと何かを思いついたように、
「そうそう、こうなれば、あたしより俊亮が行くのが、ほんとうだよ。ねえ、次郎、そうじゃあないかい。」
 お祖母さんは、ずるそうな、しかし、まったく上機嫌な顔をして俊亮と次郎との顔を見比べた。
「私が?」
 と、俊亮は、次郎のどぎまぎしている様子に、ちらりと眼をやりながら、自分もいくぶんうろたえて、
「そ、それはいけ
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