よきようにすれば、仲悪しくなることなし。……」
「……若きうちは、随分不仕合わせなるがよし。不仕合わせなるとき、くたびるる者は役に立たざるなり。……」
そうした文句は、どれもこれも、彼自身のために書かれているような気がした。とりわけ、最後の二句は悲しいまでに彼の心に響いた。彼は読み進むのに夢中だった。
「おや、もうお勉強?」
いつの間にか、お浜がうしろに立っていた。次郎がふりむくと、お浜はぴったりと彼によりそって坐りながら、
「お試験でもありますの? 今日は土曜でしょう。」
お浜の眼は何か淋しそうだった。次郎ははっとして本を閉じた。そして、いきなりお浜の膝に両手を置いて言った。
「僕、きょう、乳母やのおかげで、先生にこの本の話をきいたもんだから、ちょっと読んでいたんだよ。」
「乳母やのおかげですって?」
「うん、そうだよ。乳母やのおかげだよ。」
「坊ちゃんてば。……ほほほほ。」
「ほんとうだい。ほんとうに乳母やのおかげさ。嘘なもんか。」
次郎は怒っていると思われるまでに、真剣だった。
「そう? じゃあ、そのわけ聞かしてちょうだい。」
お浜は、まだ信じられない、といった顔をして
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