笑っている。
「話すよ。……だけど、父さんにも聞いてもらおうかなあ。……そうだ、お祖母さんにも、母さんにも、聞いてもらった方がいい。階下《した》におりようや。」
次郎は何か喜びに興奮しているようだった。
「階下に?」
と、お浜は、もうしばらく二人きりでいたいようなふうだったが、すぐ思いかえしたらしく、
「そう、階下にいらしって下さる方がいいわね。どうせ乳母やは今夜はとめていただきますから。」
「恭ちゃんは、まだ帰らないかなあ。僕の話、恭ちゃんにも、いっしょにきいて貰うといいんだけれど。」
次郎はそう言ってさっさと先きにおりた。お浜は、ちょっと恭一と次郎との机の様子を見くらべてから、そのあとにつづいた。
二人が階下におりると間もなく、恭一も帰って来た。それまで、あまり機嫌のいい顔をしていなかったお祖母さんも、すると、急に顔がほぐれ出した。座はわりあいに賑やかだった。少くとも次郎には、何かしら、いつもより賑やかなように感じられた。
彼は今日の出来事を話し出すいい機会をねらっていたが、なかなかそれが見つからなかった。お浜は、そのことを忘れてしまっているかのように、お芳に向かって昔の
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