ボタンは、肩をゆすぶりながら、次郎に近づいて来た。
次郎はきちんとお辞儀だけをした。そして、そのまま默って、睨むように相手の顔を見つめた。
「ふん、知っているぞ。」
三つボタンは、煙草の吸殻を捨てて、それを靴でふみにじりながら、両腕をくんだ。次郎は、やはりじっと彼を見つめているだけである。
「白状せい、白状せんと、なぐるぞ。」
三つボタンは、腕組をといて、右手の拳を次郎の顔のまえにつき出した。次郎はそれでもたじろがなかった。そして、いくぶん血の気を失った唇をふるわせていたが、
「僕、何も悪いことなんかしていません。」
と、食ってかかるように言った。
「何? 悪いことしていない? じゃあ、何でこんなところに一人でいたんだ。」
「用があったからです。」
「何の用だ。それを言ってみい。」
三つボタンはにやりと笑った。
次郎には、その下品な笑いが、鉄拳以上の侮辱のように感じられた。彼は返事をする代りに、思わず手を衣嚢《かくし》に突っこんで、小刀《ナイフ》を握った。
三つボタンは、しかし、それには気がつかないで眼を柵の外に転じながら、
「言えないだろう。中学生が学校の柵の内から、道
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