田原先生は、わざわざ成績発表を見に来ていたので、あらためて通知を出さなくてもよかったはずだったが、何か書かないではいられない気持だったのである。
竜一宛のを書き終ったあと、彼はかなり永いこと頬杖をついて考えた。それから、ざら半紙を二枚、紙挟みからとり出して、それに鉛筆で、考え考え何か書いていった。書いていくうちにそれはだんだん長くなって、とうとう紙一ぱいになってしまった。彼は何度もそれを読みかえし、消したり、書き加えたりしたあと、今度は作文用紙に、ペンで念入りにそれを清書した。
それはお浜宛の手紙だった。文句にはこうあった。
「ばあや、おたっしゃですか。もう大かた一年も手紙を出さないで、ほんとうにすまなかったと思います。きっと心配していたでしょう。しかし、これにはわけがありました。僕は昨年、中学校の入学試験にしくじったので、どうしてもばあやに手紙を出す元気が出なかったのです。しかし、安心して下さい。今年はいよいよ僕も中学生になりました。今日それがわかったのです。だから、これからは、ばあやにも時々手紙を書くことにします。
中学校に一年おくれたのは残念でなりませんが、その代り、僕はこ
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