ろ祝福さるべきであったかもしれない。
彼は、実際、この一年間で、自分の置かれている立場を、ほとんど第三者的な冷静さで観察する術を学んだ。また、多少の身びいきや偏見がまじっていたとしても、自分というもののほんとうの姿を、だいたいにおいて正しく見|究《きわ》めることが出来た。そして、それが、自己嫌悪に似た感情に彼を引きずりこんでいたこともたしかだったが、一方では、彼は彼自身と彼の周囲とに対していつの間にか、新しい闘いを闘いつつあったのである。その闘いは、もう以前のような気分本位の闘いではなく、その中には、幼稚ながらも、ある思想と、比較的永久性のある感情とが流れていた。それは、むろん、まだ「永遠」への思慕と呼ばるべきものではなかったのであろう。しかし、何かより高いものを求めないではいられない気持が、「運命」と「愛」との現実の中で、ほのぼのと息をつきはじめていたことだけは、たしかだった。
で、彼が第二回目に中学校の入学試験をうけた時には、彼はもう世間なみの受験生ではなかった。少くとも中学校の制服制帽にあこがれるといったような子供らしさは、すっかり超越《ちょうえつ》していた。そして入学後の生
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