んだ。
児童たちは、一せいに先生の方を見た。それから、またお互いに顔を見合って、何か相談しているらしかったが、しばらくすると、その中の一人だけが、さっさと丘をおりて先生の方に近づいて来た。それは次郎だった。
ほかの児童たちは、いつまでも立ったまま次郎を見おくっていたが、先生がもう一度、「おおい」と叫ぶと、いかにも気が進まないかのように、しぶしぶと丘をおりはじめた。
権田原先生は、次郎が校門のところまで来ると、ほかの児童たちに頓着せず、彼一人だけをつれて、宿直室に入った。
やがて鐘が鳴り、授業がはじまって、校内は急にしずかになった。それまで、畳にあぐらをかき、顎鬚《あごひげ》をむしって天井ばかりを見ていた権田原先生は、思い出したようにたずねた。
「どうしたんだい、ゆうべは。」
「喧嘩しました。」
次郎は平然として答えた。
「正木のお祖父さんは、まだ何も知らないんだな。」
権田原先生の調子も平然たるものだった。
「はい。知りません。」
「そうか、じゃあ、先生に話してみい。いったい何で隣村の青年なんかと喧嘩をしたんだ。」
次郎の説明したところによると、こないだの夏祭りの晩に、素
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