てみたりして、次郎の様子に注意していたこともあった。しかし次郎は、そんな時にも、いつも「大人」であり、めったに笑いも怒りもしなかった。
 ところが、ある朝――それは夏休みが過ぎて間もないころのことだったが、――権田原先生が出勤すると、もう校長が教員室に待っていて、いかにも仰山らしく言った。
「君、ゆうべは大変なことがありましたね。何でも君の組の本田が主謀者《しゅぼうしゃ》らしいですよ。」
 だんだん聞いてみると、次郎たちの仲間が十四五名で、隣村の青年たち四五名と、大川の土堤で乱闘をやり、相手にかなりひどい傷を負《お》わせたというのである。
「とにかく、さっそく本田を取調べてみて下さい。授業の方は、その間、私が代ってやっておきますから。」
 校長にそう言われて、権田原先生は次郎をさがしに校庭に出てみた。しかし次郎の姿はどこにも見えなかった。時計を見ると、始業までには、あと三四分しかない。
 先生は念のために校門を出てみた。すると、二丁ほど先の、小高い丘になった櫨林の中に、十四五名の児童がかたまって、何か話しあっているのが見えた。先生は、それを見ると、すぐ、大声をあげて、
「おおい。」と叫
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