、日がたつにつれて、それがいよいよがっちりとなって行くように、誰の眼にも見えたのである。
 ただ、権田原先生だけは正木や本田といつも連絡《れんらく》があり、また徹太郎とも知合いで、いろんな機会に次郎の話をすることであったせいか、次郎の表面だけを見て、安心してはいなかった。そして、例の猪首を窮屈そうに詰襟のうえにそらし、我|関《かん》せず焉《えん》といったふうでいながら、教室では無論のこと、廊下を歩いている時でも、次郎には特別の注意を払っていたのである。
 権田原先生が何よりも気がかりだったのは、次郎の顔から、大っぴらな笑いと怒りとが、次第にその影をひそめて行くことであった。笑うには笑っても、彼の笑いには時としてまるで声がなかった。以前のような、血の気にあふれた怒りなどは、ほとんど見られなくなっていた。そしてしばしば、可笑しくも何ともない、といった顔をしてみたり、腹を立てていながら、せせら笑いをしたりすることがあった。
「これはいかん。」
 権田原先生は、おりおり一人でそうつぶやいた。そして、わざと教室でひょうきんなことを言ってみたり、校長に小言を食うほどの乱暴な競技を、組の生徒にやらし
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