して闘うのじゃない。むしろ有難い味方だと思って、それに親しんで行く。それでこそほんとうに自分を伸ばすことが出来るんだ。運命を喜ぶものだけが正しく伸びる。そして正しく伸びるものだけが運命に勝つ。そう信じていれば、まず間違いはないね。……どうだい、叔父さんの言うことは少しむずかしかったかね。恭一君にはわかったろう。」
「ええ。」
 と恭一はうなずいて次郎を見た。
 次郎は、その時、一心に松の木を見つめていたが、日がかげっていたせいか、その顔色は、何となく、くすんで見えた。
 三人は、間もなく弁当がらの始末をして、そこを去った。そしてそれっきり松の木の話は誰の口にものぼらなかった。しかし、次郎が、徹太郎と恭一とを心配させたほど考えこんだのは、それからのことであった。次郎は、その日じゅう、自分からはほとんど口を利《き》かなかった。そして大きな木の根さえ見ると、立ちどまってじっとそれを見つめる、といったふうであった。
 もっとも、このことが、その後次郎の気持にどれだけの影響を与えたかは、はっきりしなかった。彼は相変らす正木では「大人」であり、本田では反抗的であり、大巻では割合無邪気だった。ただい
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