た話し出した。
「君らはこれまで、運命と闘うように教えられて来たかも知れん。それも嘘じゃない。結局は運命に勝たなければならんからね。だが、闘うことばかり考えていると、つい、無茶をやるようになるんだ。無茶では運命に勝てん。勝とう勝とうとあせって、自分の力に及ばないことや、道理にはずれたことをすると、かえって負ける。芽を出したばかりの松は、どんなに力んでみてもすぐには岩は割れない。また大きくなった松でも、幹の堅さだけで岩を割るわけにはいかない。岩を割る力は幹の堅さでなくて、命の力なんだ。じりじりと自分を伸ばして行く命の力なんだ。だから、運命に勝ちたければ、じりじりと自分を伸ばす工夫をするに限る。勝つとか負けるとかいうことを忘れて、ただ自分を伸ばす工夫をしてさえ行けば、おのずとそれが勝つことになるんだ。」
徹太郎の調子は、ふだんとはまるでちがって来た。次郎は何か叱られているような気持だった。
「だが――」
と徹太郎は少し考えて、
「自分を伸ばすためには、先ず運命に身を任せることが大切だ。岩の割目で芽を出したら、その割目を自分の住家にして、そこで楽しんで生きる工夫をするんだね。岩を敵にまわ
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