郎がたずねると、堀底の一人が大声で答えた。
「鮒は少のうござんしたよ。その代り今年は鰻が豊作でな。」
「少々でいいが、早速わけてもらえないかね。町から小さいお客を二人つれて来たんだが。」
「ようがすとも。」
気持よくそう答えて、その男は大堀の出口に築いてある堰《せき》をこえて向う倒に姿を消した。
徹太郎たちが、岸をおりてその方に行くと、受籠はもう引きあげられて、その中には鮒がはね、鰻がぬるぬると動いていた。
三人は、次郎のさげていた魚籠《びく》に、いくらかの鮒と鰻をわけてもらって、すぐ帰った。
帰ると、徹太郎は、鮒だけをお祖母さんに渡し、鰻は蒲焼にするために自分で割《さ》きはじめた。次郎は始終熱心にそれを見ており、自分でも何かと手伝ったりしたが、恭一は、鰻の頭に錐《きり》が突きさされるごとに眼をそらした。
午飯は一時近くになった。
大巻の家としては、近来にない賑やかな食卓だった。ご馳走は、鮒の味噌汁のほかは、すべて鉢盛りにしてあり、めいめい好きなものをとって食べるようになっていたが、これは恭一にも、次郎にも、いつもと勝手がちがっていた。しかし、二人は、何か自分たちの経験した
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