の山だけれど。」
「一人で? そうか。しかし登山はいいね。そのうち叔父さんが高い山につれていってあげようかな。」
「ええ。」
徹太郎と恭一とが、そんな話をしているのを聞きながら、次郎はいつも一間ほど先を歩いていた。
「次郎君は、どうだい、登山は?」
次郎はそう言われて、やっと二人と肩をならべながら、
「大好きです。」
「しかし、まだあまり登ったことはないんだろう。」
「学校の遠足で二三度登ったきりです。」
「じゃあ、もう少し暖くなったら、恭一君と三人で、天幕をかついで行って、山に寝てみようね。」
次郎は眼を輝かした。徹太郎は、それからしきりに登山や露営の面白さを説き立てて、二人を喜ばした。
大巻の家までは、せいぜい一里だった。で、十時近くには、三人はもう、そのふう変りな槇《まき》の立木の門をくぐっていた。
運平老は、座敷に画仙紙をひろげて、絵を描《か》いているところだったが、恭一と次郎とが挨拶に行くと、老眼鏡を隆《たか》い鼻先にずらして、じろりと二人の顔を見た。そして、
「ほう、来たな。よし、よし。」
と言ったきり、またすぐ絵筆を動かしはじめた。
二人はちょっと手持無沙汰
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