靴をはき出した。
「お茶はもう結構です。……じゃあ、俊三君はこのつぎにするかね。」
と、徹太郎は台所の方をのぞき、すぐ俊亮とお祖母さんとに挨拶して立ち上った。お祖母さんはいかにも不機嫌そうな顔をしていた。
三人が門口を出るときには、お芳も俊三も見送って出ていたが、次郎はつとめて二人の眼を避けているようなふうだった。
「じゃあ、お宅を三時頃にはおいとまさして下さい。日が暮れると、正木で心配しますから。」
俊亮のそんな心づかいをうしろに聞きながら、次郎は真っ先に立って歩いた。彼の足はやけに早かった。そして、町はずれを出てからも、誰とも口をきかなかった。
「中学校も三年になると、ちょっと学科がむずかしくなるねえ。」
「ええ。東洋史に覚えにくい名前が出て来て困るんです。」
「武道はどちらをやってるんだい。剣道?」
「いいえ柔道です。」
「君の体では、剣道の方がよくはないかな。」
「ええ、……でも、僕、面をかぶるのが嫌いなんです。臭くって。」
「だいぶ神経質だな。……べつに何か運動をやっているんかね。」
「やりません。」
「登山はどうだい。」
「好きです。僕、ときどき一人で登ります。この辺
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