默りこんでしまった。
 二人はそれから、やたらに煎餅をかじりはじめた。もう日が暮れかかって、ただでさえうす暗い部屋が、一層暗かった。その中で、煎餅をかじる音だけが、異様に、二人の耳に響いた。
 菓子鉢も間もなくからになり、部屋はしんとして寒かった。しかし、二人はいつまでも階下《した》におりようとはせず、机に頬杖をついたまま、からになった菓子鉢の底に、ぼんやりと眼をおとしていた。
 そのうちに、梯子段をのぼる重い足音がして、俊亮がのっそりと部屋にはいって来た。次郎は、あわてたようにいずまいを正して、ぴょこんとお辞儀をした。
「来たのか。」
 俊亮は、それだけ言って、つっ立ったまま、しばらく二人を見おろしていたが、
「二人とも階下におりたらどうだ。ここには火もないだろう。」
 次郎は、すぐ立ちあがりそうにして、恭一を見た。恭一は、しかし、いやに鋭い陰気な視線を次郎にかえしただけで、相変らず頬杖をついたままだった。
「今日は次郎が来たから、母さんに御馳走してもらおうかな。次郎、何がいい?」
 俊亮はそう言って微笑した。次郎は、また恭一の顔をのぞいた。恭一は、頬杖のまま顔をちょっと父の方に向け
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