ったのか、いつも俊亮の坐るところにお祖母さんが坐り、その左に恭一、お祖母さんと向きあってお芳、その右に俊三、そして次郎は、恭一と俊三との間に一人だけ横向に坐ることになった。そして坐ると同時に、四人はすぐ火鉢に手をかざしたが、次郎だけは、手を出さなかった。四月に入ったばかりで、陽気はまだ寒かったが、四里近くの道を歩いて来たばかりの次郎には、火の気の必要がほとんど感じられなかったのである。
しかし、この瞬間、次郎は何ということなしに、変に冷たいものが、ふと自分の胸をとおりぬけるような気がした。それはあるかなきかの、ごく淡い感じではあった。しかし、次郎にとっては何よりもいやな種類の感じだったのである。
彼は、強《し》いてその感じを払いのけようとつとめた。しかし、それは無駄だった。というのは、それから恭一と俊三とが、何か二こと三こと彼に話しかけたあと、話がいっこうにはすまず、妙に白けた空気が火鉢のまわりを支配してしまったからである。
この時、もしお芳が、次郎に何か話しかけるか、或はちょっと気をきかして、すぐそばの茶棚から、次郎の眼にも見えていた菓子鉢でもおろして、みんなの前にさし出したと
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