を飲んでいたお祖母さんが、不機嫌そうに、俊亮にたずねた。
「いや、歳暮《くれ》にも無沙汰をしていますし、どうせ一度行って来なければなりますまい。」
「でも、今年はまだ忌《いみ》があるんじゃないのかい。」
「そりゃそうです。しかし、べつに年始というわけではありませんから。」
「じゃあ、松の内でも過ぎてからにした方が、よくはないのかい。あんまり物を知らないように思われても、何だから。」
 俊亮は苦笑した。そして、ちょっと何か考えていたが、
「じつは、今、正木から至急の手紙が来ましてね。」
 と、膝の前に重ねて置いた四五通の手紙に眼をやった。
「何を言って来たのだえ。」
 お祖母さんは、急いでちゃぶ台のそばをはなれ、不機嫌と好奇心とをいっしょにしたような眼つきをして、俊亮の火鉢の前に坐った。
「今日の夕刻までに、是非来てくれというんです。」
「そんな急な用件って、何だね。」
「それは、行ってみないと、はっきりしませんが……」
「何とも書いてはないのかい。」
「ええ……」
 俊亮の返事は少しあいまいだった。
「用件も書かないで、人を呼びつけるなんて、ずいぶん失礼だとは思わないのかい。」
 俊亮
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