、恭一には小さな置時計、次郎には靴、俊三には、いつか正木の家で次郎がもらったのと同じような、文房具のつめ合わせだった。
 お祖母さんはじめ、その晩はみんな上機嫌だった。ただ次郎だけは、靴を見た瞬間から、また妙に気が重くなり出した。それは、中学校に入ったら靴を買ってもらいたいというのが、お芳との前からの約束だったからである。

    一〇 鋤焼

 入学試験の失敗は、気づかわれたほどには、次郎の心を傷つけなかった。彼は正木に帰ってから、ひととおり周囲に顔をやぶってしまうと、案外元気に学校にも通い、遊びにも出た。それをいつまでも気にやんでいたのは、むしろ恭一の方だったらしく、自分の学年試験が目前にせまっていたにもかかわらず、しばしば次郎にあてて長い手紙を書いたりした。
 源次も竜一も不合格組だった。竜一は、誰に向かっても、
「全甲の次郎ちゃんでさえうからなかったんだから、僕がうからないのはあたりまえだい。」と言った。
 源次は、二度目なので、さすがに少々てれてはいたが、二三日すると、どこで覚えて来たのか、「大器晩成だよ」などと言って、けろりとしていた。
 合格者は、尋六から四名、高一から
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