ずるそうに次郎を見た。
「僕も、どっちでもいいよ。」
次郎は、わざと平気らしく答えて、そっぽを向いた。
「だって、お祖母さんは、今度の母さん、次郎ちゃんを一等かわいがるんだって、言ってたよ。」
「…………」
次郎は、ちょっと顔を赧《あか》らめて、横目で恭一を見た。恭一も彼の方をちらと見たが、すぐ視線を俊三の方に向けて、
「そんなことないよ。……そんなこと言うの、悪いよ。」
「どうして?」
「どうしてって、はじめっから、そんなわけへだてなんかする人だって思うの、悪いよ。」
「だって、お祖母さんがそう言ったんだもの。」
「お祖母さんが言ったって、悪いさ。お祖母さんは次郎ちゃんが……」
と言いかけて、恭一は急に口をつぐみ、落ちつかない眼をして次郎を見ていたが、
「ねえ、俊ちゃん――」と調子をかえ、
「僕たちこれから、誰にでも同じように可愛がってもらうようにしようじゃないか。」
俊三はわかったような、わからないような眼をして、恭一を見た。恭一は今度は次郎に向かって、
「今度の母さん、そんなわけへだてなんかしないね、次郎ちゃん。」
「うん、……しないだろう、……きっと。」
次郎は、とぎ
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