いよ。第一、お祖母さんや、奥さんとは人柄がちがってらあ。」
「どうちがってるの。」
「どうって……とにかく次郎ちゃんを心から可愛いがっているんだからね。」
「ほんとうかい。」
「ほんとうだとも。そりゃ可愛いがるよ。しかし、可愛いがっても甘やかさないところが、流石は旦那さ。」
「そうだと、私も安心だけれど……」
お浜は幾分物足りなさを感じながらも、流石に嬉しそうだった。そして、もっと直吉にいろいろ訊いてみたいこともあったので、一緒に連立って帰ることにした。
ところで、二人が正木に挨拶をすまして、いざ帰ろうとすると、かんじんの次郎の姿が何時の間にか見えなくなっていた。
「次郎ちゃん!」
「坊ちゃん!」
と、直吉とお浜とが、代る代る呼び立てた。その声に驚いたような顔をして、正木の子供たちが、ぞろぞろと蝋小屋から出て来たが、次郎の姿はその中にまじっていなかった。
しばらくの間は、お浜と直吉だけが、其処此処と探しまわっていた。
しかしいくら探しても見つからないので、捜索は次第に大袈裟になっていった。いつも子供たちが隠れん坊をして遊ぶ米倉や、櫨《はぜ》の実倉は無論のこと、納屋や、便所や、
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