どそれを気にとめていないようなふうであった。
「僕、もっと泊っていきたいんだがなあ。」
 そう言って、次郎はきまり悪そうに、皿に箸を突っこんだ。
「お正月まで泊っておいでよ。ね、いいだろう。」と、久男が言った。――久男は、一番年上の従兄弟である。
「でも、お正月はおうちでなさるものよ。」
 と、お浜はいそいで久男の言葉を打消し、何かちょっと考えるふうであった。
「どこだって同じだい。ねえ、お祖母さん、次郎ちゃんはお正月まで泊ってもいいだろう。」
「そうねえ……」
 と、お祖母さんは、隣のちゃぶ台から、なま返事をした。
「なんでしたら、私、お暇《いとま》する時に、途中までお送りしましょうかしら。」
 お浜は箸を持った手を膝の上に置きながら、改まって言った。すると、茶の間で一人だけ別の膳についていたお祖父さんが、
「なあに、構うことはない。本田の方から誰か迎えをよこすまでは、幾晩でも泊めて置くがよい。」
 正木のお祖父さんにしては、かなり烈しい語気だった。白髯《はくぜん》の間からのぞいている頬が、いつもより赤味を帯びて光っていた。
 お祖父さんにそう言われると、お祖母さんもすぐその気になっ
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