気を配って、彼のこぼした御飯粒を拾ってやっては、それを自分の口に入れた。
お副食《かず》は干鱈と昆布の煮〆だったが、お浜はそれには箸をつけないで沢庵《たくあん》ばかりかじっていた。そして、次郎の皿が大方空になったころ、そっと自分の皿を、次郎の前に押しやった。
「ううん、それは、乳母やのだい。」
次郎はそう言って、皿を押し返した。お浜は顔を赧《あか》らめて、あたりを見まわしたが、誰もそれに気づいた様子がなかったので、ほっとした。そして今度は急いで自分の皿から、お副食を半分ほど次郎のに分けてやった。
すると今度は次郎がまごついた。こんな特別な心づかいを平気で受けるようには、彼の心はこのごろ少しも慣らされていなかったのである。彼は盗むように、お浜と従兄弟たちの顔を見た。そしてお浜が与えたものに箸をつけるのを躊躇《ちゅうちょ》した。
「坊ちゃんは何時お帰り? 今日? 明日?」
お浜は、みんなの気をそらすつもりで、そんなことを言ってみた。しかし、気をそらす必要のあった者は、お浜自身と次郎との外には誰もいなかった。従兄弟たちはお浜が
自分のお副食を次郎の皿にわけてやったのを見ながら、ほとん
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