た。そしてお祖母さんは、離室《はなれ》の縁から、
「どうしたのだえ。どうしたのだえ。」
 と、もどかしそうに何度も叫んだ。
 しばらくはただ騒がしかった。次郎はその間じゅう、眼をつぶってうめいていた。彼の苦痛は実際ひどかった。が、彼はうめきながらも、みんなの驚きや、心配や、同情の程度をひそかに測定することを忘れなかった。そして、彼のむごたらしい面相と、苦痛を訴えるうめき声とによって、彼の悪行――少くとも大きな過失に対する非難は、とっくに帳消しにされてしまっているらしいのを知って、内心ほっとした。実際彼には、言訳をするだけの心のゆとりがなかった。また言訳をしようとしても、証拠があまりに歴然としていて、全くその余地が残されていなかった。そんな場合に、彼が自分の過失からうけた災害が、みんなの同情をひくほど大きかったということは、彼にとって何という仕合わせなことであったろう。
 彼はみんなにいたわられ、慰められながら、母屋の方に運ばれた。そして取りあえず卵の白身を顔一ぱいに塗られ、その上に紙を張られた。その時になって彼自身も気がついたことだが、手頸から親指にかけても、かなり大きく皮膚がただれて
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