るまでこのまま置いたらどうだ、とおっしゃって下さる。どうだ、お前に母さんの看病が出来るか。」
次郎は、母の看病のことを考える前に、町の陰気な部屋をひとりでに思い浮かべた。そして、その中で本田のお祖母さんに何もかも世話を焼いてもらう自分を想像してみた。彼は、その想像だけで、もう何も考えてみる必要を感じなかった。謙蔵伯父のことがちょっと頭にひらめかぬでもなかったが、母の看病をするという理由がある以上、これからはかえって誰にも気兼なしに、正木の家に居れるような気さえした。彼はむしろ勇み立つようにして答えた。
「僕、きっと母さんの看病が出来るよ。」
「そうか。では、どんなことをするんだい。」
俊亮はかすかに微笑しながら言った。
「看病ぐらい、わかってらあ。」
「わかってる? じゃ言ってみたらいいじゃないか。」
「薬をついでやったり、体をさすったりするんだろう。」
「それっきりか。」
「氷で冷やしてやることもあるよ。」
「それっきりか。」
「まだいろいろあるさ。」
「いろいろってどんなことだい。」
次郎は、父が変に皮肉を言っているような気がして、少し腹が立った。で、それっきり返事をしないで
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